2006年07月15日

トヨタ、リコール放置?-3 〜 毎日新聞の記事 〜

 最後に、トヨタの言い分も併記している7/12の毎日新聞3面の記事「欠陥で真っ向対立」から、考えてみよう。
 この記事は冒頭で
 
欠陥放置か、欠陥の重大性に気付くのが遅れたのか。

 と書かれており、この件の最もキーとなる点に焦点を絞っている。また、96年当時、リコールとは判断しなかったが設計変更はされており、それが適用されたハイラックスにはこの不具合は起こってないということも記されていて一番まともな記事である。よって、わざわざ3つの記事を載せなくてもこの記事だけで十分だろう。
 また、別の記者であるが、
 
部品の見直しは頻繁にあり、それ自体国への報告義務もない。

と書いている。

 以上から、私は品質保証関係の仕事に従事したことはないが、モノ作りの観点から私見を述べてみたい。

 まず、一般的にメーカーは品質100%を目指して努力するが、何を持って100%と言うかは難しい。例えば、想定外の使い方による不具合は回避不能である。また、想定されても発生確率が極めて低ければ、安全上の問題がなければそこまで品質保証しないのが普通だろう。そんなことまで保証したらきりがないし、価格は桁違いに上がってしまって成り立たなくなる。カローラで500万円とか1000万円とかなるのではないか。分からないけど。
 よって、実際のモノ作りの現場では、不良とすべきかどうか、設計変更すべきかどうか、修理すべきかどうか、リコールすべきかどうかというグレー領域のものがいつも沢山あって、それを一つ一つ判断して対処すべきものを対処しているのであり「これはリコール相当だが隠そう」などと言う悪質なものは限られてくるはずである。
 と言うわけで、今回の件について発生率を見てみよう。トヨタのトラブル報告11件と熊本県警の言う約80件(なぜ「約」?熊本県警は正確な数字を出せてない=信憑性に欠ける?のか、記者がいい加減なのか?)には乖離がありそれはそれで真偽を明らかにする必要があるだろうが、トラブルの発生率は
・11件/33万台 = 0.003%
・80件/33万台 = 0.024%
となる。品質保証の常識的な数字はちょっと把握していないが、想定外の使用方法で0.003%の発生率となれば、リコールしないのが普通ではないだろうか。

 と考えると、リコール放置と言うより、結果的に人身事故が発生したという問題があるが、プロセスとしてはトヨタの言い分には一定の分があると思う。
 また、
 
部品の見直しは頻繁にあり、それ自体国への報告義務もない。

メーカーは日夜、品質向上に努めているか設計の改良は当たり前であり、それを国への報告義務を設けるのは馬鹿げている。メーカーも国も報告の仕事が増えてかえって、設計変更による品質向上が滞るだろう。また、国に報告義務があれば品質が上がるというのは、国への「信仰」、つまりお上が常に正しいという考えの表れだろう。この記者は報告義務をすべきとは書いてないがそういう不勉強さが見て取れる。

 今回の件ではモノ作りに従事する私の目から見ると、トヨタは、
・判断が遅れてもきちんとリコール処理している。
・リコールに至らないと判断しても設計変更して再発防止している。
という点からやはり、品質を誇るメーカーであるという印象を受けた。それを1,8面で安易な記事を書いている、記者とそれを承認している編集部の不勉強さを指摘したい。

 がんばれ毎日新聞。記者の実名入り報道はいいと思う。
posted by macwin at 11:07| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスと経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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